銅御殿

茗荷谷駅前交番から湯立坂へ向かい、ドミ小石川を過ぎるとすぐ右手に立派なご門が見えて来ます。平成17年(2005年)に国の指定重要文化財となった「旧磯野家の銅御殿」です。

akagane1 20150611
毎日のように前を歩いていても中に入る機会がありませんでしたが、去る3月28日(土)に往復葉書の申し込みをして見学することができました。

この建物の施主の名前から「旧磯野家」と呼ばれていますが、現在では大谷家のご一家が実際にお住まいです。
母屋は6年がかりで大正元年(1912年)に完成、日頃見慣れている門はさらに1年かかり全部で7年程かかったそうです。

akagane2 20150611 akagane3 20150611 akagane4 20150611 akagane5 20150611 akagane6 20150611

施主からは 寺院風であること、地震に倒れないこと、火災類焼にしないと言う注文でしたが、これを率いる棟梁が北見米造という二十歳の若者だったことに驚いてしまいます。明治の施主、磯野敬氏の人を見る目とおおらかな大人(たいじん)ぶりが作った建物です。

完成1年後の「関東大震災」にもビクともしなかったそうです。火災類焼を防ぐために正門には「撥水性が高い」楠の1枚板を使い、庭の隅々に燃えにくい銀杏を配し、屋根ばかりでなく、母屋の漆喰の上に銅板を貼りました。今では緑青が行き渡り落ち着いていますが、建築当時は屋根も含めさぞ「キラキラ」と輝いていたことでしょう。ちなみに門の屋根の両脇の瓦は魚の尾を表す「鴟尾(しび)」が載り防火を願っています。

akagane7 20150611 akagane8 20150611 akagane9 20150611 akagane10 20150611 akagane11 20150611 akagane12 20150611 akagane13 20150611 akagane14 20150611 akagane15 20150611

建築にあたってのエピソードをいろいろ聞かせていただきました。

・使用する鍛造補強材はすべてカスタムメードのため邸内に鍛冶屋を作った。
・門扉の楠の一枚板は樹齢400年もの。
・屋内の波打ちガラスはベルギー製で一枚も破損がない。
・良いヒノキをとるために木曽の御料林ひと山ぶんを宮内庁から購入。
・奥の床柱は伊豆七島御蔵島の太い桑の木。
・屋久杉がふんだんに使われている。
・日本各地の銘石が使われているそうです。(京都の鞍馬石、群馬の三波石、真鶴の小松石、富士山の黒墨石、佐渡の赤石などなど)

以前は3階からの眺めも良く、富士山、六義園、両国の花火も見ることができたそうです。

銅御殿の見学は春・秋日数を限って公開されますが往復葉書での申し込みとなります。また「銅御殿」という写真集が小石川図書館に所蔵されています。

昨年公開された映画「ミンヨン 倍音の法則」では銅御殿が室内も含めてロケ地となっています。(2015,06,11掲載)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です